十勝で活躍するガイド紹介特集のトリを飾るのは、十勝の熱気球クラブ「十勝空旅団」代表の篠田博行さん。穏やかな十勝晴れの早朝、士幌町内から無事に気球に乗ることができました。美しい雪景色を一望した後、場所を変えてお話を伺いました。(聞き手:クナウパブリッシング石﨑)

久しぶりに気球に乗りましたが、とても穏やかで綺麗な景色が見られて良かったです。

本当に良い天気でしたね!実は、前日に予約が入っていたフライトは風が強くて飛ぶのを断念したんです。今日は無事に飛べて良かった!


まずは、篠田さんと気球の出会いを教えてください。

本別町出身で、家族が整備工場を営んでいました。父がアウトドア好きで、当時からモーターボートやスキーに連れて行ってもらっていてアクティブでしたね。幼い頃上士幌町のバルーンフェスタに行き、子どもながらに「かっこいいな」と空への憧れの気持ちがあったのを覚えています。でもそのときは遠い存在と言いますか、この仕事に就くとは思いもよりませんでした!

気球に乗り始めたのはいつ頃なのですか?

高校卒業後に入った会社が団体で気球を購入することになりまして。気球に乗る免許を取る人を募っていたので立候補したんです。免許を取ってからは、お手伝いとして気球に乗っていました。しばらくして郵便局に転職したのですが、その間もずっと仕事のかたわら気球に乗り続ける日々でした。

お仕事と両立しながら続けていたのですね。


郵便局の民営化に伴い副業が可能になったので、本格的に仕事として気球に向き合い始めました。そのとき、田舎の局に異動になったことや子どもが成長して手がかからなくなったタイミングでもあったので、より一層力を入れ始め、2022年に「十勝空旅団」を開業しました。

その頃はどのくらいの頻度で気球に乗っていたんですか?

大体週に一度くらいでした。国内の観光サイトに掲載してもらって、徐々にオファーが増え始めましたね。長らく郵便局業務と並行していましたが、32年間務めた郵便局を55歳のタイミングで退職し、完全に気球単独の仕事で2年目になりました!

今も観光サイトに掲載は続けているんですか?

現在は国内だけでなく、インバウンド需要のために海外向けのアクティビティサイトや旅行会社にも掲載してもらっています。そこからの申込はもちろんですが、自社サイトも英語・中国語対応にしたことをきっかけに直接の申込も来るようになりました。

最近も海外観光客が来たそうですね?

そうなんです!台湾の方がグループで来てくれました。正直言葉は通じなかったんですが、同じ景色を一緒に見て感動を共有できたので、終わる頃には「すごく良かった!」というジェスチャーでみなさん喜んでくれているのが伝わりました。

言語の壁を越えて、感動できるのは気球の魅力の一つですね。


僕が気球を好きな理由はそこにあるんです。以前少しやっていたハンググライダーもとても楽しかったのですが、単独でのアクティビティなので「綺麗!」と思った瞬間に誰かと感動を分かち合えなくて少し寂しかったかな。気球だと、大人数で乗れるので一緒になって感動できるということにとても魅力を感じています。

僕は函館出身なのですが、十勝=気球のイメージがあります。小さい頃に見ていた食品メーカーのテレビCMが十勝の景色を背景に気球が飛んでいる映像だったので…。

あー!そんなCMありましたね!十勝以外の方からするとそのCMのイメージがあるんですね。嬉しいことに、「十勝観光の目玉として気球は需要があるよ」とお客さんから言ってもらえていますが、プロモーションに課題を感じています。2024年は年間を通して約120回気球を飛ばしました。ありがたいことに夏場は予約がずっと入って忙しくしていたので、なかなかプロモーションに手が回らなかったんですよね。

お忙しそうですね。普段はどんなメンバーで活動しているんですか?

パイロットは僕一人で、あとはサポートでアルバイトの数人に入ってもらっています。欲を言えばもう一人パイロットがいると少し余裕ができるので、他の業務にもう少し力を入れられるかなと。


気球で飛んでいる間も、ずっと地上からサポートしてくれていて心強いですね。

僕がこの活動をやる上で大切にしていることの一つは、お客さんだけでなくスタッフ側も楽しんで、お客さんと積極的にコミュニケーションを取ってもらうこと。気球は乗るまでの道中も楽しんでもらいたいからね。おかげさまでお客さんからも「雰囲気が良い」と言ってもらえることが多いので、これからも続けていきたいです。あと僕自身で言うと、お客さんにおすすめしたいお店に実際に足を運んだりほかのアクティビティを体験したりして「地元ならでは」の情報を自分の言葉で話せるように取り組んでいます。

お客さんからしたら、十勝で出会った人が十勝の記憶になりますから。期待以上のことをお話しできたらと思います。あ、今の言葉は好きなアニメ作品の受け売りですけどね。

きっとその想いはお客さんに届くと思います。では最後に、篠田さんが思うAT(アドベンチャートラベル)は何でしょうか?

ATはそのまま直訳すると「冒険旅行」になります。本来の定義から逸れるかもしれませんが、冒険要素は十勝としても僕の活動としてもばっちり当てはまっていると感じています。帯広からさほど離れていない距離で空を飛べるわけですから、アドベンチャー感満載です!今日工藤さんに乗ってもらったフライトでも、雪上にいろいろな動物の足跡を見つけましたよね。本州から来てくれるお客さんは特に「うさぎだ!きつねだ!」と冒険でお宝を見つけたかのように盛り上がってくれます。


確かにテンション上がりますね!街のすぐ近くでダイナミックな自然を感じられる、北海道らしいATの要素ですね。気球から肉眼で見る十勝の景色は、綺麗な写真だけでは伝えきれない、何者にも代えがたい特別なものだと思います。

そうですね。お客さんが求める「北海道への感動・期待」を上回れるように頑張らないと。新たな人との出会いや知らない世界を体験できるこの活動をこれからも大切にしていきたいです。
今回の取材が人生初の気球体験!穏やかな早朝にふわりと浮かぶ気球。見慣れた十勝の雪景色のはずが、非日常的な感覚でした。何度「うわー綺麗!」と言ったか分かりません。篠田さんのお茶目なトークで、空の上でも地上でも笑いが起こっていました。十勝管外の方はもちろんですが、十勝在住の方にも体験してもらいたいアクティビティだなと感じました。
篠田さんの熱気球体験にご興味を持った方・登場ご予約は、下記のいずれからもお問い合わせ可能です。
【メール】makkinrei@yahoo.co.jp
【お電話】090-6444-0085
【HP】https://tokachisoratabidan.jimdofree.com/
工藤さんが勤務するデスティネーション十勝では、十勝でガイド業にチャレンジしたい方を募集中!
なんとなく興味を持っているという方も歓迎です。
募集期限:2025年2月28日(金)まで
問い合わせはこちら jimukyoku.dt★gmail.com(★を@に変更して送信してください。)
担当:工藤
アドベンチャートラベルとは「アクティビティ」「自然」「異文化体験」の3つの要素のうち2つ以上を組み合わせた旅行形態のこと。本質的にはアクティビティを通じて自然体験や異文化体験を行い、地域の人々との触れ合いを楽しみながら、その土地の自然と文化をより深く知ることで自分の内面が変わっていくような旅行体験のことを指します。アドベンチャートラベラーが満足するツアーを提供するためには、地域を案内するガイドの存在が必要不可欠なのです。