【十勝をもっとアクティブに満喫!】第9回 市川淳さん

真冬の北海道のアクティビティといえば、雪の上を疾走するスノーモービル! このスノーモービルを自分で操縦して、野生動物の足跡が残る林間を約15km走り抜けるツアーを案内してくれるのは、十勝ネイチャーセンターの市川淳さん。夏はラフティングやカヌー、冬はスノーモービルやスノーシューのガイド、さらに熱気球のパイロットまで務めるマルチな市川さんのガイド人生を伺いました。(聞き手:クナウパブリッシング 大西)

工藤さん

僕エンジンのついた乗り物が好きなんですけど、スノーモービルはやったことがなかったので今回体験できてうれしかったです。

市川さん

スノーモービルは走破性がいい乗り物ですから楽しいですよね。

今回はスノーモービルの林間ツアーに挑戦。まずはしっかり乗り方をレクチャーしていただきます。
右手にアクセルがあるなど操縦についてもバッチリ教えてもらいました。
市川さん

うちのツアーの場合、長い距離を走れるのがいいとお客さんに言ってもらことが多いです。過去スノーモービルの操縦を体験したことある人でも「こんなに長い距離走ったことない」って。

工藤さん

逆にほかのツアーを知らないですが、確かに長かったです。

市川さん

さらに十勝の冬は十勝晴れの空の青、とかちブルーがキレイで雪の白と空の青のコントラストの中を走れるのがいいと思います。写真映えもしますしね。僕らは基本的に圧雪しないところを走るので、雪が降った直後のツアーだと雪が舞い上がって頭からかぶるような体験もできます。そういう時はお客さんといっしょにびしょ濡れになりますけど笑。これはこれで面白い体験です。

工藤さん

スノーモービルを体験される方は、初めて乗るという方が多いですか?

市川さん

ほとんどが初めての方です。女性の方も全然問題なく乗れます。あと外国人の方もよく参加されますね。割合的にはアジア系の方が多い。上海、香港、台湾の人とか。

早速スノーモービルにまたがり出発!工藤さんは様になっていますね。
工藤さん

市川さんがガイドになるまでの道のりを聞かせていただけますか?

市川さん

僕には3つのステージがありまして、まず第1ステージが高校まで地元の長野にいた時。次が東京で、その次が北海道になります。東京編は13~14年くらいあって、その時はバイク屋に勤めながらオートバイのレースに出ていました。10年以上レースやってたんですが、12、3年経った頃にレースはもういいかなと思って。辞めて次に何をしようと思っていたら、たまたま十勝ネイチャーセンターが東京にリクルートに来ていて、それが縁で十勝に来ることになりました。4~5年くらい十勝ネイチャーセンターにいて、その後新得町のアクティビティ事業者であるTOMさんに行って、富良野に行って、さらにまたTACに戻って、今は十勝ネイチャーセンターにいますね。

工藤さん

北海道に来たのはおいくつの時なんですか?

市川さん

ちょうど30歳の時です。それからもう27年北海道にいます。

工藤さん

もともとバイク屋だったのに、どうしていきなりアウトドアの世界に入ったんですか?

市川さん

ほんとたまたまなんです。求人の内容が楽しそうだったんで笑。修学旅行を誘致するのに、アウトドアのアクティビティをここで学生たちに体験させたい。カヌーとかインラインスケートとかパークゴルフとか川下りとかやりますよ、ということで急遽連れて来られた感じです。ただ27年前にアウトドアガイドを始めた時は、アウトドアガイドなんていう言葉はなくて、インストラクターという肩書でしたね。そこからアウトドアガイド協会や資格ができ始めるのが、僕が34歳とかの頃です。ただ僕はどうしてもラフティングがやりたかったんで、十勝ネイチャーセンターからTOMの高橋さんのところに教えてください!って感じで行きました。

工藤さん

なんでまたラフティングだったんですか?

市川さん

いやほんと楽しそうだったからで笑。そこでカヤックも習って、もっと本格的にやりたいと思って屈足湖にあるTACに行きました。

林間を走る爽快感がたまりません。時折野生動物の痕跡を見ることもできます。写真はエゾシカの通り道。
工藤さん

市川さんは気球もやっていますよね。いつからなんですか?

市川さん

気球は十勝ネイチャーセンターにきてすぐ1年目の時にパイロットの資格をとらせてもらってそこからです。

工藤さん

マルチですね~。市川さんの得意分野はどれなんでしょうか?

市川さん

やっぱり川辺のアクティビティです。専門というとそこですね。そういえば昔はパラグライダーもやってましたね。サホロの上から。

工藤さん

北海道に来たタイミングを考えると、十勝ネイチャーセンターの立ち上げの頃から在籍していらっしゃいますね。

市川さん

ネイチャーセンター自体は1999年に立ち上がっていて、僕がきたのが2000年くらい。その頃はこんな立派な建物じゃなくて、1個のプレハブに十勝川温泉の案内所と一緒に入ってやっていました。

ツアーの途中でひと休み。市川さんが温かい紅茶を用意してくれていました。
工藤さん

ガイドとしてもだいぶ長いんですね。根本的な話を聞きたいのですが、市川さんがプロガイドとして一番大事にしていることはなんですか?

市川さん

基本的には安全です。お客さんが来られた時の状態のまま帰す。そこに+αで楽しかったという思い出。観光業はサービス業ですが、アクティビティ事業者は参加者の安全を確保するスキルを持っていなくてはいけない。さらにエンターテイナーとしてお客さんを楽しませなきゃいけない。それから自然のことや地域のことなどを情報を伝えて、でもただ伝えるのではなく情報の意味を教えてあげなければならない。これがガイドの役割だと思っています。あとはコミュニケーションスキルも必要です。お客さんとは体験日に初めて会うことになるので、出会った時は情報もほとんどなくさらの状態。そこから雑談をしながら情報を得て、お客さんのことを探っていく。そうして居心地のいい時間をつくっていく。こうやって言ってますけど実際は難しいですけどね(苦笑)。

工藤さん

人対人のことだから難しいですよね。

市川さん

そうですね。第一印象はすごく気難しそうで「うわ~」と内心思う人でも、終わってみるとすごく盛り上がって「よかったです!また来ます」と言ってもらえたりすることが僕の場合は多いです。

工藤さん

リピーターさんも多いんですか?

市川さん

ほどんどは新規の方ですけど、リピーターさんもいます。スノーモービルが好きでもう10年くらい毎年冬に来てくれたり、夏のお客さんだと毎年お盆に来てくれるご家族がいて、子どもの成長がわかったり。リピーターさんに対しては、基本のプログラムは一緒ですが例えば今年は釣り竿持っていってちょっと釣りをしてみましょうとか、お子さんが大きくなってきたからカヌーも挑戦してみましょうとかご提案したりもします。

林間ツアーも折り返し。操縦に慣れてきたら少しずつスピードを上げて疾走!爽快感がたまりません。
工藤さん

今後新しく取り組みたいことなど、アイデアベースで構わないのであったらお伺いしたいです。

市川さん

日高山脈が国立公園化したのもあって、札内川で川辺のアクティビティができないかなと思っています。札内川にはピョウタンの滝の近くに札内川園地のキャンプ場があって泊まることもできるんですが、まだ川辺の遊びとかアクティビティが少ないので。冬はスノーシューを履いて凍った川の上を散歩してみたり、氷上でファットバイクに乗ってみたり、いろいろやってみたいです。戸蔦別川という支流は水量は少ないですが綺麗な川なのでクルーズとかもいいですよね。まあ熊が多いのは難点ですが。

工藤さん

いいですね!中札内あたりは自然環境も豊かですし、空港からも近いのでまだまだポテンシャルがあると感じていましたが、そこでアクティビティガイドをやっていただけると十勝の観光の幅も広がると思います。

工藤さん

最後に、市川さんはATに対してはどう考えていますか?

市川さん

ATは一人じゃできない。地域全体を巻き込んでいかないと。連携が大事ですよね。そのためにいろんな方面の方とコミュニケーションをとっていきながら、自分にできることから情報発信していかないといけないのかなと思っています。地域全体で盛り上げていかないとですね。

工藤さん

地域本来の魅力をちゃんとストーリー立てて伝えることで、地域の本質を受け取ってもらえるのかなと僕も思っています。そう考えるとやっぱり地域の総力戦ですよね。

市川さん

工藤さんには、地域のコーディネーター的な役割を期待していますよ。

ツアー後、十勝ネイチャーセンターの中でお話を伺いました。

アクティビティ中も朗らかに笑顔で見守ってくれた市川さん。参加者の安全を第一に考えながら、十勝という地域を好きになってもらえるよう、伝える情報の意味も含めてフレンドリーなガイドをしています。十勝晴れの真っ青な空とキラキラ輝く雪の世界をスノーモービルで疾走する体験は、3月中旬頃まで実施しています。※積雪の状況によってクローズ時期は前後します。

市川さんのガイドやスノーモービルツアーに興味を持った方は十勝ネイチャーセンターまでご連絡ください。
【HP】http://www.nature-tokachi.co.jp

工藤さんが勤務するデスティネーション十勝では、十勝でガイド業にチャレンジしたい方を募集中!
なんとなく興味を持っているという方も歓迎です。
募集期限:2025年2月28日(金)まで
問い合わせはこちら jimukyoku.dt★gmail.com(★を@に変更して送信してください。)
担当:工藤

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アドベンチャートラベルとは「アクティビティ」「自然」「異文化体験」の3つの要素のうち2つ以上を組み合わせた旅行形態のこと。本質的にはアクティビティを通じて自然体験や異文化体験を行い、地域の人々との触れ合いを楽しみながら、その土地の自然と文化をより深く知ることで自分の内面が変わっていくような旅行体験のことを指します。アドベンチャートラベラーが満足するツアーを提供するためには、地域を案内するガイドの存在が必要不可欠なのです。