【わざわざ買いに行きたいパン①】パンとコンフィチュールの店 toi

例えば100キロ離れていても、例えば片道1時間かかっても、食べたくて食べたくて買いに行ってしまうパン。時間も距離も飛び越えて、心を掴んで離さない魅惑のパンのひみつに迫る。第1回目は、音更町の「パンとコンフィチュールの店 toi」を訪ねた。

小麦の旨みを追求して

音更市街地から車で約20分。鹿追町へと続く道道135号線の上然別から少し丘を登った緑豊かな自然の中にパン屋「toi」はある。周囲には他の建物はない。愛らしい看板と木造建築が訪れる者を迎えてくれる。

パンは一つひとつが大きいため、購入の際にはサイズの相談ができる。

関西でパン作りの修行をしていた中西さん夫妻がこの土地でパン屋を営むようになったのは3年前。「国産有機小麦の生産者さんを訪ねて十勝に来ました。その際に中川農場さんに出会い、偶然隣の土地が空いていることを教えていただいたんです」。

本当は関西に戻るつもりだったが、中川さんの農場がある音更町に土地を見つけた縁で、ここで独立することを決めたのだという。生活の基盤が変化することに不安はあった。しかし、周りが常に気にかけてくれたことで、横のつながりができたと話す。一生懸命パンを焼き続けることが生きるパワーの源になっているようだ。

パンの他に旬のフルーツを使ったコンフィチュールも販売。

toiのパンは、自然栽培・有機栽培の小麦のみを使用している。石臼で自家製紛し、種類ごとに割合を調整している。出来る限り生産者から直接仕入れ、誰が栽培した小麦なのか分かるように、材料は塩・水・粉の3つのみとしている。全粒粉は自然酵母で発酵を促すことにより旨みが増して、消化も良くなる。常連さんからも好評を博しているという。

オーガニックな材料にこだわる中西さんは、「パン作りは素材が全てだと思っています」と語る。「私たちは素材と食べる人との繋ぎ役でしかない。パンを買いに来てくれるお客さんには、生産者さんのこだわりの想いを伝えていきたいですね」。

音更町という土地で店を始めてから3年。周りの人たちにたくさん手を貸してもらい、助けてもらった。そのおかげでパンを焼き続けることができたと中西さん夫妻は振り返る。今度は自分たちが地域の若者を応援していきたい。2人はそう強く決意している。

ブリオッシュ・ペイザンヌ(1本 680円)
あすなろファーミングの牛乳と、興部町にあるノースプレインファームの発酵バターが入ったパン。ほのかな甘みが人気。

くるみとレーズンのパン(1本 1,800円
茶色いパンをベースにオーガニックのレーズンとクルミが入った食べ応えのあるパン。しっとりとした食感が特徴。

toiのパン(1ホール 1,920円)
余ったパンと全粒粉100%の粉を合わせ、再び焼き上げたパン。薄くスライスしてチーズやワインに、そのままお酒のアテにも。

茶色いパン(1ホール 2,160円)
自家製粉を20%使用。サンドウィッチにしたり、ラクレットのチーズをのせて焼いたり、スープのお供にも◎。

パンとコンフィチュールの店
toi

(トイ)
電話番号 0155-32-9177
住所 音更町字上然別北6線23−4
営業時間 夏季/10:00~17:00、冬季/10:00~16:00
定休日 月・火曜

※掲載内容は2022年8月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。