【十勝をもっとアクティブに満喫!】第4回 佐藤有将さん

第4回目の対談相手は、写真映像工房くろかりんとうの代表として写真や映像制作の仕事に加えて、釣りのガイドとしても活動している佐藤有将(ゆうすけ)さん。然別湖の固有種「ミヤベイワナ」を釣り上げるべく、佐藤さんと一緒に船で湖面へ出発。無事に釣ることができ大満足の体験でした。佐藤さんの多岐にわたる活動の原動力は何なのか、深堀りしました。(聞き手:クナウパブリッシング石崎)

工藤さん

釣りのガイドやカメラマンなど幅広い活動をされている佐藤さんですが、そもそもガイドを始めたきっかけは何だったんですか?

佐藤さん

僕の出身地である南富良野町は川や湖がある町で、幻の魚といわれる淡水魚「イトウ」がいます。町の条例としてイトウの保護が定められており、学校教育でも大切にしようという内容が盛り込まれているんです。そうした教育を受けることで、イトウを守っていくことは大事なことだという意識が幼い頃からありました。中学生の時の自由研究で「イトウを守りながら活用していこう」という内容で発表し、自分なりにイトウという貴重な資源を使って観光客を呼ぶにはどうしたらいいか考えましたね。

工藤さん

すごい、中学生のころからそのような考えを持っていたのですね!

佐藤さん

それから高校、専門学校に通っている間も釣りはずっと好きで楽しんでいました。最初の就職先であるテレビ局では自然番組を制作し、取材にも出かけたものです。その中で道北の幌加内町の朱鞠内湖で、イトウの保護をしながら釣りを楽しむ人々に密着しました。イトウに限らず道内に生息する魚や保護活動を調べている中で、然別湖の固有種である「ミヤベイワナ」の存在を知りました。制作会社に転職した後、釣り番組で然別湖を特集したことがあり、その時にお世話になったのがグレートフィッシング然別湖のチーフの田畑さん。その後僕はフリーのカメラマンとして独立するのですが、そのタイミングで田畑さんにスタッフとして働いてみないか?と声をかけてもらったんです。

佐藤さん

独立したタイミングで自分の釣りのYouTubeを開設し、今まで培ってきた撮影の技術を駆使して釣り番組を作ろうと思いました。自分の好きを集めたチャンネルですが、おかげさまで現在1.3万人の方が登録してくれています。番組の配信を続けていくにつれ、ぜひ釣りガイドをしてほしいという声をいただくことが増えました。初めはあくまで自分が釣りを楽しむことがメインでしたが、そうした声をYouTubeを通して多くの方からいただいて、それならば釣りガイドをやってみようと始めてみたのがきっかけでしたね。 

釣りを体験する前にガイダンス。その日の天気や湖の状態、釣りやすいスポットなどを説明してもらいます。
工藤さん

佐藤さんにとって「ガイド」とはどんな存在ですか?

佐藤さん

自分にとってガイドの意義は「啓蒙」です。珍しい魚をたくさん釣って満足するのではなく、然別湖にしかいない貴重なミヤベイワナに出合うことで「守っていかないと」「やっぱり自然は大事だよね」ということを思い返してもらうことを大切にしています。意識を変えてもらうことが一番の目的です。

工藤

先日、沖縄の八重山エリア(石垣島、西表島、小浜島)に行き、シュノーケリングでサンゴ礁を見る機会がありました。中にはサンゴが白くなってしまっているものがあり、気候変動による環境変化をダイレクトに感じました。体験を通して肌で感じるという点は、今回のお話と通じるものがあり、環境保全について考えるきっかけになりますね。

佐藤さん

「守る」ということは難しいですよね。ただ守るだけなら閉鎖的にしてしまえば良い。でもそうではなく、然別湖のように期間や人数を制限しながら開放し、人に来てもらい知ってもらう活動が大切だと思います。

工藤さん

まさしく、佐藤さんが中学生の頃に発表されたように、守っていきながらどう活用するのか、ですね。中学生のときからその考え方ができるのはすごいです。

佐藤さん

もちろん当時の先生のアドバイスもあったのでしょうが、今思うとなかなか大人びた子どもでしたね。

無事に釣れたので記念撮影。工藤さんが釣ったのは秋色のミヤベイワナ。少し茶色がかっています。
工藤さん

観光というのは、地域が抱える様々な問題を旅行者にも知ってもらい、考えるきっかけを作る重要な産業だと思っています。そのメッセンジャーを担うのがガイドであり、地域にとって必要不可欠な存在だと常々感じています。普段は然別湖以外でも釣りのガイドをしているんですか?

佐藤さん

然別湖以外だと、幌加内町の朱鞠内湖でイトウに出合うためのガイドも行っています。ほかにも海釣りに行きたいという方と一緒に船を出したり、冬はワカサギ釣りのガイドを行ったり。1年を通じて全道各地に足を運んでいます。基本的にリクエストがあれば幅広く対応しています。

工藤さん

佐藤さんと言えば「写真映像工房くろかりんとう」の代表として写真や映像のお仕事もされていますよね。ガイドとのバランスはどのくらいなのですか?

佐藤さん

割合で言うと写真・映像の仕事が7でガイド業が3くらいです。

釣れたらサイズを測り記録。その後はゆっくりと湖にかえします。キャッチ&リリースが鉄則!
工藤さん

ガイド1本で仕事をしている人はそう多くないですよね。どちらもやりたいことで、それを仕事にしていてとても素敵だなと思います!最後に、佐藤さんはアドベンチャートラベル(AT)に対してどう感じているのか伺いたいです。

佐藤さん

ATという観点からも「グレートフィッシング然別湖」というのは理にかなっていると思います。然別湖が形成された歴史的な背景や火山活動であったり、世界でここでしか出合えないミヤベイワナがいるのはとても強みだと感じています。また、「テンカラ」という日本伝統の釣り方でお客さんに釣りを経験してもらって楽しんでもらう工夫をしています。以前、海外から来たという方を取材したのですが「ここにしかいない魚がいるから然別湖を選んだ」と言っていました。やっぱり知っている人はいるんだなと嬉しくなりましたね。今後は更に海外に向けて発信していきたいです。

※テンカラ・・・渓流魚を釣る和式毛バリ釣りの方法で、竿と糸、毛バリ(けばり)というシンプルな仕掛けで魚を釣ることができる。

工藤さん

然別湖は国立公園ですからね。その地の環境を学びながらアクティビティとして釣りを体験できるので、本当にATとして良いスポットだと感じています。然別湖にさらなる可能性を感じられた1日でした。ありがとうございました。

佐藤さん

ありがとうございました!

佐藤さんのドローン技術でこんな写真も撮影できます。早朝は曇天でしたが晴れ間を狙ってシャッターチャンス! 
(Photo&Video Kurokarintou)

ミヤベイワナが釣れるまで根気強く待ち続けました。その間「真剣に待っているより何でもない話をしている方が釣れるんだよ」と然別湖や釣りの話、プライベートの話で楽しませてくれたりと佐藤さんはやわらかい空気を作ってくれました。すると…あら不思議!気づいたらミヤベイワナが釣れていました。釣りというアクティビティの楽しさに佐藤さんの人柄がプラスされて、よりワクワクして忘れられない体験ができました。

佐藤さんのフィッシングツアーに興味がある方は、Instagramか公式LINEまでご連絡ください。
①フィッシングツアー
【Instagram】https://www.instagram.com/yusuke_sth_fth/
【公式LINE】https://lin.ee/UvRqkLd

②写真映像工房くろかりんとう
【Instagram】https://www.instagram.com/kurokarintou.obihiro/

工藤さんが勤務するデスティネーション十勝では、十勝でガイド業にチャレンジしたい方を募集中!
なんとなく興味を持っているという方も歓迎です。
募集期限:2025年2月28日(金)まで
問い合わせはこちら jimukyoku.dt★gmail.com(★を@に変更して送信してください。)
担当:工藤

最近の旅行トレンド:アドベンチャートラベル(AT)

アドベンチャートラベルとは「アクティビティ」「自然」「異文化体験」の3つの要素のうち2つ以上を組み合わせた旅行形態のこと。本質的にはアクティビティを通じて自然体験や異文化体験を行い、地域の人々との触れ合いを楽しみながら、その土地の自然と文化をより深く知ることで自分の内面が変わっていくような旅行体験のことを指します。アドベンチャートラベラーが満足するツアーを提供するためには、地域を案内するガイドの存在が必要不可欠なのです。